日本の旧植民地出身者に対して新たに「特別永住」という在留資格が設けられ、指紋押捺制度が廃止された1991年は、私が生まれるたった3年前の出来事であった。私は指紋の押捺を強制されたことがない。この制度について耳にしたことはあったものの、考える必要もなかった。しかし、廃止されたからそれでもういいということなのだろうか。どのようにしたら、先代の在日コリアンがあげてきた指紋押捺拒否の声を風化させずに記憶することができるのだろうか。
私の手は、指紋の代わりに星をそこにつけるだろう。この日本という地で在日外国人として生きる者の、この国の暗闇に在日外国人として生きる者のための。その星がどんなに小さかったとしても、声をあげ続けるかぎり皆、指の腹に可能性を宿している。


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